2022/04/15
共培養を必要とする菌株
ヒトの口腔・腸内細菌叢などの常在微生物叢は、我々が想像していた以上に多種多様な細菌種で構成されており、その多くが未分離・未分類の細菌種であることが明らかになっています。近年寄託される菌株の中には、その菌株だけでは生育が困難で、発育を助ける菌株(helper strain)との共培養を必要とするユニークな菌株が存在します。口腔から分離されたFretibacterium fastidiosum(JCM 16858T)はSynergistetes門に属する菌種で、本菌種はhelper strainとしてFusobacterium nucleatum subsp. nucleatumを必要とします。口腔の健康と関連があるTannerella serpentiformis(JCM 31301, JCM 31302およびJCM 31303T)はhelper strainとしてCutibacterium acnes subsp. acnesを必要とします。また、口腔由来のChloroflexi門に属するファイロタイプAnaerolineae bacterium HOT-439の初めての培養株としてUnidentified bacterium JCM 31632およびJCM 31633の2株も寄託されており、これらの菌株はその培養にFusobacterium nucleatum subsp. polymorphumを必要とします。今後共培養を必要とする菌株がさらに分離・培養されることにより、微生物叢の共生メカニズムが紐解かれることが期待されています。 皆様のご利用をお待ちしております。
Fretibacterium fastidiosum JCM 16858T (with helper strain: vertical line) |
Tannerella serpentiformis JCM 31303T (with helper strain : vertical lines) |
Tannerella serpentiformis JCM 31303T (Cells of JCM 31303T) |
Unidentified bacterium JCM 31632 (with helper strain: vertical line) |