凍結解凍標品の復元法

当施設では糸状菌ならびに酵母の一部を凍結解凍標品で提供することがあります。本標品は Ito (1993) の方法に従って、以下の手順で作製したものです。

  1. 当該微生物株を適当な寒天培地で培養し、そのコロニーより打ち抜いた菌体ディスク(通常、2枚)を保護剤(通常、10%グリセリン水溶液)と共に凍結チューブに入れ、十分浸漬した後、定法により凍結保存する。
  2. 提供に際しては、凍結チューブを定法により解凍し、普通郵便で発送する。

 

凍結解凍標品がお手元に届きましたら、以下の手順で復元して下さい。なお、直ちに復元できない場合は冷蔵庫(4℃)に保存し、できるだけ数日以内に新しい培地に移植して下さい。

  1.  当該微生物株に対して指定された培地を用意して下さい。
  2. チューブのキャップがしっかりと閉まっていることを確認し、チューブ表面、特にキャップのパッキン部をアルコール綿(約70%, w/w 消毒用エタノール)で殺菌します。
  3.  輸送中にチューブ内が陽圧になる場合がありますので、念のため滅菌ガーゼや脱脂綿などでパッキン部を覆い (アルコール綿は使用しない)、無菌環境下でキャップを徐々にゆるめます。この際、チューブ内の保護剤が噴出した場合は、再度キャップを硬くしめ、アルコール綿でパッキン部を殺菌し、十分乾燥させた後キャップを再度開けます。
  4.  チューブ内の保護剤に浸された菌体ディスクを滅菌したミクロスパーテルや白金耳などで取り出し、指定培地に移植します。
  5.  指定された温度で、適当期間培養して下さい。微生物株によって生育に2~3週間、あるいはそれ以上かかるものもあります。

 

参考文献:

Ito, T. 1993. A simple method for the transport of fungal cultures stored by freezing. Bull. JFCC 9: 9-12.



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