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RIKEN BioResource Research Center - Japan Collection of Microorganisms
JCM Mail News （電子メール版） No. 135
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理化学研究所 バイオリソース研究センター 微生物材料開発室（JCM）
が公開している微生物等の最新情報をお届けします。
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● リソース紹介「芽胞発芽誘導法によって分離された腸内細菌」
● EMALiMB ver3.0, MALDI-TOF MS レファレンスライブラリー公開
● 「JCM BLAST検索」を公開しています
● 新規公開微生物株（2025年2月公開）
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┃ リソース紹介「芽胞発芽誘導法によって分離された腸内細菌」
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私たちはヒト腸内から未分離・未分類の細菌を単離し、微生物資源の確保およ
びその利用の観点からバイオリソースの整備を行うことを目的として研究を進
めています。特に腸内細菌は、ヒトの生理機能や多様な疾患に関係することか
ら、医薬品開発など様々な産業分野で注目されています。例えば、Waltera
acetigignens (JCM 36210)やAnaerostipes caccae (JCM 13470T),
Anaerostipes hominis (JCM 32275T)は酪酸を産生するため、プロバイオティ
クスとして今後より詳細に研究されることが期待されます。上記の細菌種は熱
や酸などのストレスから細胞を守るために芽胞を形成し、休眠状態となること
が知られています。培養には発芽を誘導する刺激が必要ですが、細菌種によっ
て発芽要因が多様であり、培養が難しいことが知られています。そこで、私た
ちは糞便材料の液体培養液を滅菌して糞便材料に添加することで、芽胞の発芽
を促す新たな分離培養法を実施しました。
その結果、プロバイオティクスとして期待されているAnaerobutyricum属や
Roseburia属、Ruminococcus属、Waltera属の細菌種が分離されました。また新
種候補株として期待される細菌種も多数分離されました。芽胞の発芽を誘導す
る培養法は細菌の分離に貢献するだけではなく、休眠状態では発揮できない細
菌が本来もつ能力をより理解する手法としても期待されます。
参考文献
Sakamoto et al. 2024. Isolation and characterization of a new Waltera
species and reclassification of Brotolimicola acetigignens Hitch et al.
2022 as Waltera acetigignens comb. nov.
Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 74: 006381.
DOI: 10.1099/ijsem.0.006381
Kadowaki et al. 2023. Spore-forming properties and enhanced oxygen
tolerance of butyrate-producing Anaerostipes spp.
Anaerobe., 82: 102752
DOI: 10.1016/j.anaerobe.2023.102752
久富 敦（特別研究員）
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┃ EMALiMB ver3.0, MALDI-TOF MS レファレンスライブラリー公開
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JCM, IFM, GTC, NEKKEN* では合同で、広範な微生物株を対象としたMALDI-TOF
MSレファレンスライブラリー 'EMALiMB' (Expanded MALDI-TOF MS Library
for MALDI Biotyper®)を構築し、収載データ数を増強したver3.0 を公開しま
した。詳細は、下記のWebページをご覧ください。
https://www.jcm.riken.jp/NBRP_MALDI-TOF_MS/nbrp_maldi_tof_ms_ref_lib_j.html
EMALiMB_NBRP_Library_ver3.0 では、JCMとIFMが保存する真菌リソース
2,000件、JCMとGTCが保存するバクテリアリソース 約 1,140件、NEKKENが保存
するTrypanosomaを含む原虫リソース14件などのMALDI-TOF MSデータを収載し
ています。EMALiMB_NBRP_Library_ver3.0 には健康の研究に役立つ乳酸菌や腸
内細菌をはじめとする嫌気性細菌のデータが多く含まれます。なお、ver3.0
は ver2.0 までのデータを含んでおります。
本プロジェクトは、文部科学省の主導するナショナルバイオリソースプロジェ
クト（NBRP）基盤技術整備プログラムの助成を受けて2020-2021年度に実施し
たもので、継続的にMALDI-TOF MSデータを追加しています。微生物株は、
JCM, IFM, GTC, NEKKENの各機関から提供しております。
* JCM: 理化学研究所バイオリソース研究センター微生物材料開発室
IFM: 千葉大学真菌医学研究センター微生物資源分野バイオリソース管理室
GTC: 岐阜大学 高等研究院科学研究基盤センター嫌気性菌研究分野
NEKKEN: 長崎大学熱帯医学研究所
遠藤 力也（酵母・酵母様藻類担当）
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┃ 「JCM BLAST検索」を公開しています
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「JCM BLAST検索」を公開しています。クエリ配列と相同性のあるゲノム配列
をもつJCM株（もしくは同等株）を検索することができます。
現時点では、原核生物株のみが対象です。是非ご活用ください。
JCM BLAST検索
https://www.jcm.riken.jp/JCM/jcmblast/jp/
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┃ 新規公開微生物株（2025年2月公開）
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細菌
"Achromobacter cholinophagum" JCM 20645
Chromobacterium sp. JCM 20646
Chromobacterium sp. JCM 20647
Comamonas halotolerans JCM 35999 Type strain
Crenobacter oryzisoli JCM 36468 Type strain
Desulfosporosinus paludis JCM 39521 Type strain
Enterobacter chinensis JCM 35826 Type strain
Enterobacter rongchengensis JCM 36189 Type strain
Halomonas sp. JCM 20648
"Helicobacter felistomachi" JCM 39513 Proposed type strain
"Helicobacter gastrocanis" JCM 39159 Proposed type strain
"Helicobacter gastrofelis" JCM 39160 Proposed type strain
Minisyncoccus archaeiphilus JCM 39522 Type strain
Novacetimonas hansenii JCM 37641
Streptococcus parapneumoniae JCM 36068 Type strain
Virgibacillus sp. JCM 20649
真菌
Geotrichum reessii JCM 3680
詳細は以下のサイトから検索できますのでご利用ください。
https://jcm.brc.riken.jp/ja/catalogue
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発行
理化学研究所 バイオリソース研究センター
微生物材料開発室 (JCM)
inquiry.jcm@riken.jp
https://jcm.brc.riken.jp/ja/
https://x.com/RBRC_JCM_jp
https://x.com/RIKEN_BRC_jp
2025年03月13日
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