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RIKEN BioResource Center - Japan Collection of Microorganisms
JCM Mail News (電子メール版) No. 78
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独立行政法人 理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室(JCM)
が公開している微生物等の最新情報をお届けします。
━━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
● バイオリソースの提供手数料の改定のお知らせ
● 今月のリソース紹介「Streptomyces avermitilis 大規模欠失株の公開に
ついて」
● 第8回日本ゲノム微生物学会年会および日本農芸化学会2014年度大会におけ
るパネル展示のお知らせ
● 新規公開微生物株(2014年1-2月公開)
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┃ バイオリソースの提供手数料の改定のお知らせ
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当センターは、ライフサイエンスの開発研究に必要なバイオリソースを整備し、
提供する事業を実施いたしております。事業を継続的かつ円滑に行うために、バ
イオリソースの収集、保存、品質管理等に必要な経費は理化学研究所運営費交付
金を充て、提供に必要な経費は提供手数料として利用者の皆様にご負担いただい
ております。
この度は、消費税率が5%から8%へ引き上げられることに伴い、提供手数料を
改定させていただくことになりました。ご理解を賜りますよう、何卒宜しくお願
い申し上げます。
なお、2014(平成26)年4月1日(火)に提供依頼をいただいたバイオリソース
より、改定後の手数料にて提供させていただきます。それ以前のご依頼は、現行
の手数料を適用させていただきます。
今後とも、利用者の皆様の研究活動の発展に貢献できるよう、バイオリソース
の充実と品質の向上に努力して参ります。活発なご利用をお待ちいたしておりま
す。
詳細は以下のサイトをご覧下さい。
https://brc.riken.jp/news/notice_20140228_01.html
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┃ 今月のリソース紹介「Streptomyces avermitilis 大規模欠失株の
┃ 公開について」
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放線菌の多くは抗生物質をはじめとする多種多様な生物活性二次代謝産物を生
産しますが、その生合成経路や生合成遺伝子の調節機構の解明は学術的な重要性
のみならず、工業的にも応用が期待されています。しかし生合成の遺伝学的解明
に必要な遺伝子導入などの操作が困難な菌株も多く、研究の支障となっています。
もし汎用性のある宿主に異種の生合成遺伝子クラスターを導入し、それを発現さ
せることができれば様々な二次代謝産物の生合成研究に大きく寄与すると考えら
れます。北里大学北里生命科学研究所の池田治生教授のグループは、二次代謝産
物の生合成をコードする遺伝子の異種発現のためのモデル宿主を構築する目的で、
全ゲノムが解明されているStreptomyces avermitilisの大規模欠失株を体系
的に作製されました。S. avermitilisの野生株は抗寄生虫薬として工業生産さ
れているエバーメクチンをはじめ、同じくポリケチド化合物であるオリゴマイシ
ンなどの生合成遺伝子を有していますが、前駆体供給に関わる一次代謝系の遺伝
子はまったく改変せず、これら内在性の二次代謝産物合成遺伝子クラスターを欠
失させることにより、細胞内の前駆体を異種導入した生合成遺伝子クラスターが
効率よく利用することが可能になります。そのような観点から野生株の9.02 Mb
の線状染色体遺伝子から1.4 Mb以上の領域を段階的に欠失させた変異株群が作製
されました。それら変異株の染色体は野生株染色体の83.12~81.46%に相当し、
野生株に見られる二次代謝産物は生産されませんが、一次代謝に関する遺伝子は
改変していないためグルコースと無機塩からなる最少培地で生育が可能です。ま
たDNA導入も野生株同様良好に行なえ、S. griseus のストレプトマイシン生合
成遺伝子クラスターとS. clavurigerusのセファマイシンC生合成遺伝子クラス
ターの導入、発現に成功されています。
池田先生のご好意により、この大規模欠失株17株をJCMにご寄託いただき、昨
年11月より一般に公開いたしました (JCM 18239~18255)。各株の詳細につい
ては参考文献 (2) をご参照下さい。
なお、本17菌株は遺伝子組換え生物に該当いたしますので、提供には法律に基
づく所定の手続きが必要です。詳細はホームページをご覧になり、またご不明な
点がありましたらお問い合わせ下さい。
参考文献
1. Ikeda, H. et al. 2003. Complete genome sequence and comparative
analysis of the industrial microorganism Streptomyces avermitilis.
Nat. Biotechnol. 21: 526-531.
DOI: 10.1038/nbt820.
2. Komatsu, M. et al. 2010. Genome-minimized Streptomyces host for
the heterologous expression of secondary metabolism.
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 107: 2646-2651.
DOI: 10.1073/pnas.0914833107.
工藤 卓二(放線菌・好気性細菌担当)
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┃ 第8回日本ゲノム微生物学会年会および日本農芸化学会2014年度大会に
┃ おけるパネル展示のお知らせ
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第8回日本ゲノム微生物学会年会および日本農芸化学会2014年度大会において
JCMのパネル展示を行います。本大会にご出席される方はどうぞブースにお立ち
寄り下さいますようご案内いたします。
第8回日本ゲノム微生物学会年会
展示会期 2014 年 3 月 7 日(金)- 9日(日)
展示会場 東京農業大学世田谷キャンパス
(〒156-8502 東京都世田谷区桜丘1-1-1)
日本農芸化学会2014年度大会
展示会期 2014 年 3 月 28日(金)- 30日(日)
展示会場 明治大学生田キャンパス
(〒214-8571 神奈川県川崎市多摩区東三田1-1-1)
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┃ 新規公開微生物株(2014年1-2月公開)
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細菌
Acinetobacter kookii JCM 18513
Actinomyces haliotis JCM 18848 Type strain
Amphibacillus iburiensis JCM 18529 Type strain
Aquamicrobium aestuarii JCM 16876 Type strain
Aquimarina megaterium JCM 18215 Type strain
Arthrobacter gyeryongensis JCM 18514 Type strain
Chitinophaga jiangningensis JCM 19354 Type strain
Clostridium aerotolerans JCM 15733 Type strain
Clostridium celerecrescens JCM 15734 Type strain
Flaviramulus ichthyoenteri JCM 18634 Type strain
Flavobacterium limnosediminis JCM 18661 Type strain
Fretibacter rubidus JCM 15585 Type strain
Gluconacetobacter aggeris JCM 19092 Type strain
Gluconacetobacter aggeris JCM 19093
Gluconacetobacter asukensis JCM 19089
Gluconacetobacter asukensis JCM 19090
Gluconacetobacter asukensis JCM 19091
Gluconacetobacter takamatsuzukensis JCM 19094 Type strain
Gluconacetobacter takamatsuzukensis JCM 19095
Gluconacetobacter takamatsuzukensis JCM 19096
Gluconacetobacter tumulisoli JCM 19097 Type strain
Gracilimonas rosea JCM 18898 Type strain
Hydrotalea sp. JCM 18566
Kordia aquimaris JCM 18556 Type strain
"Kosmotoga pacifica" JCM 19180 Proposed type strain
Lacibacter daechungensis JCM 19172 Type strain
Lactobacillus faecis JCM 17300 Type strain
Lactobacillus porcinae JCM 19617 Type strain
Lactobacillus selangorensis JCM 19618 Type strain
Luteibaculum oceani JCM 18817 Type strain
Mycobacterium paragordonae JCM 18565 Type strain
"Paludibacter jiangxiensis" JCM 17480 Proposed type strain
Pseudoalteromonas shioyasakiensis JCM 18891 Type strain
Pseudoruegeria haliotis JCM 18872 Type strain
Roseivivax pacificus JCM 18866 Type strain
Ruminococcus gnavus JCM 6515 Type strain
Rummeliibacillus suwonensis JCM 19065 Type strain
Shimia biformata JCM 18818 Type strain
Shimia haliotis JCM 18870 Type strain
Sphingomicrobium flavum JCM 18555 Type strain
Sphingomicrobium marinum JCM 18554 Type strain
Tepidiphilus thermophilus JCM 19170 Type strain
Thermus sp. JCM 17653
Youngiibacter multivorans JCM 19730 Type strain
アーキア
Halolamia pelagica JCM 16810
"Haloplanus salinus" JCM 18368 Proposed type strain
Halosimplex pelagicum JCM 17263 Type strain
Sulfolobus sp. JCM 16833
"Thermofilum adornatus" JCM 19809
Vulcanisaeta sp. JCM 16159
真菌
Asterotremella albida JCM 24503
Asterotremella musci JCM 24512
Candida boleticola JCM 8923 Type strain
Cryptococcus podzoricus JCM 24504
Cryptococcus podzoricus JCM 24505
Cryptococcus podzoricus JCM 24508
Cryptococcus podzoricus JCM 24510
Cryptococcus sp. JCM 24502
Cryptococcus sp. JCM 24506
Cryptococcus sp. JCM 24507
Cryptococcus sp. JCM 24509
Cryptococcus sp. JCM 24511
Lecanicillium primulinum JCM 18525 ex-holotype
Lecanicillium primulinum JCM 18526
Lecanicillium primulinum JCM 18527
Minutisphaera japonica JCM 18560 ex-holotype
Minutisphaera japonica JCM 18561
Minutisphaera japonica JCM 18562
Rhodotorula sp. JCM 24513
Simplicillium aogashimaense JCM 18167 ex-holotype
Simplicillium aogashimaense JCM 18168
Simplicillium cylindrosporum JCM 18169 ex-holotype
Simplicillium cylindrosporum JCM 18170
Simplicillium cylindrosporum JCM 18171
Simplicillium cylindrosporum JCM 18172
Simplicillium cylindrosporum JCM 18173
Simplicillium cylindrosporum JCM 18174
Simplicillium cylindrosporum JCM 18175
Simplicillium minatense JCM 18176 ex-holotype
Simplicillium minatense JCM 18177
Simplicillium minatense JCM 18178
Simplicillium obclavatum JCM 18179
Simplicillium subtropicum JCM 18180 ex-holotype
Simplicillium subtropicum JCM 18181
Simplicillium subtropicum JCM 18182
Simplicillium subtropicum JCM 18183
Simplicillium sympodiophorum JCM 18184 ex-holotype
詳細は以下のサイトから検索できますのでご利用ください。
http://www.jcm.riken.jp/JCM/catalogue_J.shtml
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※ メールでの情報提供受信を中止されたい場合は、微生物材料開発室
(inquiry@jcm.riken.jp)まで「メールニュース不要」の旨をご連絡下さい。
※ 当メールへのご質問などは、微生物材料開発室(inquiry@jcm.riken.jp)
までお送り下さい。
※ 当メールニュース受信者各位機関のサーバーメインテナンス等によりメール
ニュースをお届けできない場合でも、メールニュースの再発行は行いません。
発行済みのメールニュースは当開発室のwebサイトで公開しておりますので
そちらをご覧下さい。
http://www.jcm.riken.jp/JCM/mailnews.shtml
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発行
独立行政法人 理化学研究所 バイオリソースセンター
微生物材料開発室 (JCM)
inquiry@jcm.riken.jp
http://www.jcm.riken.jp/
2014年3月6日
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