************************************************************* RIKEN BioResource Center - Japan Collection of Microorganisms JCM Mail News (電子メール版) No. 75 ************************************************************* 独立行政法人 理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室(JCM) が公開している微生物等の最新情報をお届けします。 ━━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 今月のリソース紹介「腸内細菌と酪酸について」 ● 「ナショナルバイオリソースプロジェクト (NBRP)」 実物つきパネル展示「バイオリソース勢揃い」終了報告 ● 新規公開微生物株(2013年11月公開) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃ 今月のリソース紹介「腸内細菌と酪酸について」 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 腸内細菌が作る酪酸が体内に取り込まれて免疫系に作用し、制御性T細胞とい う炎症やアレルギーなどを抑える免疫細胞を増やす働きがあることが英国の科学 雑誌「Nature」(11月13日付)に掲載されました。この論文では、腸内細菌の一 種であるクロストリジウム目という細菌群を定着させたマウスを作製し、細菌群 の腸内発酵が制御性T細胞の数の増減にどう影響するかを調べました。食物繊維 を多く含む食事を与えたマウスと、食物繊維をほとんど含まない食事を与えたマ ウスで比較したところ、食物繊維を多く含む食事を摂ったマウスだけに制御性 T細胞の増加が観察され、同時に、食物繊維を多く含む食事を摂ったマウスの腸 内では代謝産物の1つである酪酸の産生量が多くなっていました。食物繊維の多 い食事をとることで、腸内細菌による食物繊維の代謝が進む結果多くの酪酸が作 られて、この酪酸が炎症抑制作用のある制御性T細胞を増やしていることが明ら かにされました。実際に大腸炎を起こさせたマウスに酪酸を与えたところ、制御 性T細胞が増えて大腸炎が抑制されました。酪酸を産生する腸内細菌(JCM Mail News No. 64 http://www.jcm.riken.jp/JCM/MailNews64.html を 参照)の新たな役割が見えてきました。今後さらなる研究の発展が期待されます。 なお論文では腸内の常在細菌であるBacteroides thetaiotaomicron JCM 5827を無菌マウスに定着させ、比較のために利用されています。 参考文献 Furusawa et al. 2013. Commensal microbe-derived butyrate induces the differentiation of colonic regulatory T cells. Nature doi:10.1038/nature12721 プレスリリース http://www.riken.jp/pr/press/2013/20131114_1/ 坂本 光央(嫌気性細菌担当) ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃ 特別企画「ナショナルバイオリソースプロジェクト (NBRP)」 ┃ 実物つきパネル展示「バイオリソース勢揃い」終了報告 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JCMは「一般微生物」担当として文部科学省ナショナルバイオリソースプロ ジェクトに参加しています。12月3日(火)から3日間、神戸国際展示場において 第36回日本分子生物学会年会・特別企画「ナショナルバイオリソースプロジェク ト (NBRP)」の展示説明会が行われました。JCMの展示ブースに多数の方々が立ち 寄っていただき、学会参加者の方々と有意義な情報交換を行うことができました。 ご参加されました方々に心から感謝申し上げます。 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃ 新規公開微生物株(2013年11月公開) ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 細菌 Allokutzneria multivorans JCM 17342 Type strain Anoxybacillus vitaminiphilus JCM 16594 Type strain Bacillus mycoides JCM 9801 Bacillus sp. JCM 9798 Dactylosporangium siamense JCM 15934 Type strain Desulfocurvus thunnarius JCM 18546 Type strain Microbulbifer mangrovi JCM 17729 Type strain Mycobacterium arabiense JCM 18538 Type strain Mycobacterium sediminis JCM 17899 Type strain Noviherbaspirillum malthae JCM 18414 Type strain "Novosphingobium ginsenosidimutans" JCM 18202 Proposed type strain Pseudomonas aeruginosa JCM 9799 Pseudomonas mendocina JCM 9790 Pseudomonas mendocina JCM 9792 Pseudomonas mendocina JCM 9794 Pseudomonas putida JCM 9800 Pseudomonas sp. JCM 10126 Pseudomonas sp. JCM 10127 Pseudomonas stutzeri JCM 9788 Rothia endophytica JCM 18541 Type strain Streptomyces avermitilis JCM 18239 Streptomyces avermitilis JCM 18240 Streptomyces avermitilis JCM 18241 Streptomyces avermitilis JCM 18242 Streptomyces avermitilis JCM 18243 Streptomyces avermitilis JCM 18244 Streptomyces avermitilis JCM 18245 Streptomyces avermitilis JCM 18246 Streptomyces avermitilis JCM 18247 Streptomyces avermitilis JCM 18248 Streptomyces avermitilis JCM 18249 Streptomyces avermitilis JCM 18250 Streptomyces avermitilis JCM 18251 Streptomyces avermitilis JCM 18252 Streptomyces avermitilis JCM 18253 Streptomyces avermitilis JCM 18254 Streptomyces avermitilis JCM 18255 Thermoanaerobaculum aquaticum JCM 18256 Type strain アーキア Methanobrevibacter boviskoreani JCM 18376 Type strain Methanosarcina soligelidi JCM 18468 Type strain Natronobacterium texcoconense JCM 17655 Type strain 真菌 Ambrosiozyma oregonensis JCM 7617 Type strain Candida melibiosica JCM 5489 Kendrickiella phycomyces JCM 18027 Kendrickiella phycomyces JCM 18028 Kendrickiella phycomyces JCM 18029 Kendrickiella phycomyces JCM 18030 Kendrickiella phycomyces JCM 18031 Kendrickiella phycomyces JCM 18032 Muscodor cinnamomi JCM 16838 ex-holotype 詳細は以下のサイトから検索できますのでご利用ください。 http://www.jcm.riken.jp/JCM/catalogue_J.shtml ------------------------ ※ メールでの情報提供受信を中止されたい場合は、微生物材料開発室 (inquiry@jcm.riken.jp)まで「メールニュース不要」の旨をご連絡下さい。 ※ 当メールへのご質問などは、微生物材料開発室(inquiry@jcm.riken.jp) までお送り下さい。 ※ 当メールニュース受信者各位機関のサーバーメインテナンス等によりメール ニュースをお届けできない場合でも、メールニュースの再発行は行いません。 発行済みのメールニュースは当開発室のwebサイトで公開しておりますので そちらをご覧下さい。 http://www.jcm.riken.jp/JCM/mailnews.shtml ※ 本メールに記載された内容は予告することなく変更することがあります。 ※ 本メールに掲載された記事を許可なく複製・転載することを禁止します。 _____________________________________________ 発行 独立行政法人 理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室 (JCM) inquiry@jcm.riken.jp http://www.jcm.riken.jp/ 2013年12月10日 _____________________________________________