********************************************************* RIKEN BioResource Center - Japan Collection of Microorganisms JCM Mail News (電子メール版) No. 67 ********************************************************* 独立行政法人 理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室(JCM) が公開している微生物等の最新情報をお届けします。 ━━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 特別企画「ナショナルバイオリソースプロジェクト (NBRP)」 実物つきパネル展示「バイオリソース勢揃い」のご案内 ● 今月のリソース紹介「脂肪酸を蓄積する酵母Rhodosporidium toruloides」 ● 新規公開微生物株(2012年10月公開) ● 「The 13th International Congress on Yeasts」参加報告 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃ 特別企画「ナショナルバイオリソースプロジェクト (NBRP)」 ┃ 実物つきパネル展示「バイオリソース勢揃い」のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JCMは「一般微生物」担当として文部科学省ナショナルバイオリソースプロジ ェクトに参加しています。来る12月11日(火)から4日間、第35回日本分子生物 学会年会・特別企画「ナショナルバイオリソースプロジェクト (NBRP)」におい て、NBRP事業を中心に国内で進められているバイオリソースを紹介いたします。 この中で、JCMのリソースについてデータベースのデモや様々な資料を用意し てわかりやすく解説いたします。皆様のご来場を心よりお待ちしております。 是非、お立ち寄りください。 日時:2011年12月11日(火)~14日(金) 9:00~17:00(最終日は16:15まで) 会場:第35回日本分子生物学会年会ポスター・展示会場 NBRPコーナー(マリンメッセ福岡2階 展示スペース) 〒812-0031 福岡市博多区沖浜町7-1 TEL:092-262-3111(総合案内) 詳細は http://www.nbrp.jp/ をご覧ください。 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃ 今月のリソース紹介「脂肪酸を蓄積する酵母Rhodosporidium toruloides」 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 酵母のいくつかの種は、菌体中に脂肪酸を蓄積することが知られています。 脂肪酸はバイオディーゼルの原料として使用できるため、これら酵母に将来の 燃料として期待が寄せられています。子嚢菌酵母ではLipomyces lipofer等の Lipomyces属やYarrowia lipolyticaが、また担子菌系酵母では Cryptococcus albidus、Cryptococcus curvatus、Rhodotorula glutinis、Rhodosporidium toruloides等が知られています。担子菌系酵母では脂肪酸を菌体中に蓄積する という事実は古くから知られていたものの分子生物学的データが乏しく、子嚢 菌酵母のLipomycesやYarrowiaに比べて研究が遅れていたのですが、最近 Rhodosporidium toruloidesのゲノムに関する報告が相次いで発表されました。 本種は日本の環境からの分離例もあり、JCMには株が保存されていますのでどう ぞご利用ください。 菌株: JCM 10020、JCM 10021、JCM 10022、JCM 10049、JCM 10295、JCM 10296、 JCM 10297、JCM 10298、JCM 10301、JCM 11635、JCM 22145 文献: Kumar et al. (2012). Genome sequence of the oleaginous red yeast Rhodosporidium toruloides MTCC 457. Eukaryot Cell, 11:1083-4. (論文で使用されているのは Rhodosporidium toruloides MTCC 457 。 JCM 10020はMTCC 457と同じ株に由来する株です。) Zhu et al. (2012) A multi-omic map of the lipid-producing yeast Rhodosporidium toruloides. Nat. Commun. 3:1112. doi: 10.1038/ncomms2112. (論文で使用されているのは Rhodosporidium toruloides NP11。NP11は CGMCC 2.1389から分離されたハプロイド株です。JCM 10297(基準株)は CGMCC 2.1389と同じ株に由来する株です。) 高島昌子(リソース事業推進担当) ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃ 新規公開微生物株(2012年10月公開) ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 細菌 Actinoplanes atraurantiacus JCM 17700 Type strain "Aestuariibaculum suncheonense" JCM 17789 Agromyces indicus JCM 17573 Type strain Bacillus eiseniae JCM 16993 Type strain Brevibacillus nitrificans JCM 15774 Type strain Brevundimonas viscosa JCM 17426 Type strain Flavobacterium dankookense JCM 17065 Type strain Gluconacetobacter tumulicola JCM 17775 Gluconacetobacter tumulicola JCM 17776 Gluconacetobacter tumulicola JCM 17777 Gryllotalpicola daejeonensis JCM 17590 Type strain Gryllotalpicola koreensis JCM 17591 Type strain Gryllotalpicola koreensis JCM 17592 Gryllotalpicola kribbensis JCM 17593 Type strain "Lihuaxuella thermophila" JCM 18059 Proposed type strain Macellibacteroides fermentans JCM 16313 Type strain Magnetospira thiophila JCM 17960 Type strain Oceanitalea nanhaiensis JCM 17755 Type strain Phorcysia thermohydrogeniphila JCM 17384 Type strain Planococcus halocryophilus JCM 17719 Type strain Pseudonocardia xishanensis JCM 17906 Type strain "Thermanaerothrix daxensis" JCM 16980 Proposed type strain Thermocatellispora tengchongensis JCM 17698 Type strain Tropicimonas sediminicola JCM 17731 Type strain 真菌 Ambrosiozyma kamigamensis JCM 15450 Ambrosiozyma kamigamensis JCM 15454 Ambrosiozyma kamigamensis JCM 15455 Ambrosiozyma kamigamensis JCM 16730 Ambrosiozyma kamigamensis JCM 16731 Ambrosiozyma neoplatypodis JCM 16732 Ambrosiozyma neoplatypodis JCM 16733 Candida sp. JCM 14999 Candida sp. JCM 15000 Candida sp. JCM 15001 Candida thasaenensis JCM 17817 Type strain Cyberlindnera samutprakarnensis JCM 17816 Type strain 詳細は以下のサイトから検索できますのでご利用ください。 http://www.jcm.riken.jp/JCM/catalogue_J.shtml ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃ 「The 13th International Congress on Yeasts」参加報告 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本年8月26-30日に米国ウィスコンシン州マディソンで開催されたthe 13th International Congress on Yeasts (ICY 2012)に参加し、発表してきましたの で報告いたします。 会議に先立ち、8月25日にYeast Systematics Workshopが行われました。本メー ルニュースのNo. 55(「菌類の学名の付け方は大きく変わるのか?」)で既に ご紹介したように、菌類の学名の付け方がかわります(詳細は下記文献をご覧 ください)。ワークショップではこれに伴う酵母の学名の諸問題と今後の作業 日程について話し合われました。 ICY 2012は、26日の夕方からProf. Thomas Jeffriesによる開会挨拶の後、 Prof. Stive Oliverの基調講演がありました。27日からは、午前中2つのプレナ リー講演(3日間で合計6)が、それに引き続き分類・生態・ゲノム・代謝など の基礎から、食品やバイオエタノールなどの応用まで幅広い分野で合計52のシ ンポジウムが行われました。参加登録者は全体で400名を超えていると伺いまし た。会期中には、酵母の分類の成書である”The Yeasts, A Taxonomic Study” (第5版は2011年に刊行)の次版の編集に関する会議もありました。 最終日のクロージングアドレスでは、次の開催地は日本であることが発表さ れました(2016年、兵庫県淡路島)。本会議で得たものをリソース事業に生か していくのと同時に、次回の会議にも是非参加したいと思います。 文献: 岡田(2011)第18 回国際植物学会議(IBC2011, Melbourne)で採択されたアナ モルフ菌類および多型的生活環をもつ菌類の統一命名法、日本菌学会会報 52:82-97. 高島昌子(リソース事業推進担当)、遠藤力也(酵母担当) ------------------------ ※ メールでの情報提供受信を中止されたい場合は、微生物材料開発室 (inquiry@jcm.riken.jp)まで「メールニュース不要」の旨をご連絡下さい。 ※ 当メールへのご質問などは、微生物材料開発室(inquiry@jcm.riken.jp) までお送り下さい。 ※ 当メールニュース受信者各位機関のサーバーメインテナンス等によりメール ニュースをお届けできない場合でも、メールニュースの再発行は行いません。 発行済みのメールニュースは当開発室のwebサイトで公開しておりますので そちらをご覧下さい。 http://www.jcm.riken.jp/JCM/mailnews.shtml ※ 本メールに記載された内容は予告することなく変更することがあります。 ※ 本メールに掲載された記事を許可なく複製・転載することを禁止します。 _____________________________________________ 発行 独立行政法人 理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室 (JCM) inquiry@jcm.riken.jp http://www.jcm.riken.jp/ 2012年12月4日 _____________________________________________